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写真のインポート(データベース化)

  

darktableの起動および画像の取り込み(インポート)によるデータベース化

では、darktableを起動して写真のRAW現像に挑戦してみましょう。 ただし、この記事ではまだ写真の補正やRAW現像は行いません。 画像を取り込んで(インポートして)データベース化し、絞り込むまでをやってみましょう。

darktableの起動と画像の取り込み(インポート)

では、darktableを起動しましょう。 Windows版であればスタートメニューやデスクトップアイコンから、Linux版であればメニューや仮想ターミナルからdarktableを起動してください。

1. 起動直後のdarktable
1. 起動直後のdarktable

上図のように起動するとメインウィンドウが表示されます。 darktableでは、ほとんどの作業をこのメインウィンドウ上で行います

メインウィンドウでは、目的に応じてビューを切り替えながら作業を行います。 ではここで、メインウィンドウの右上に注目してください

2. ライトテーブル | ダークルーム | その他
2. ライトテーブル | ダークルーム | その他

上図のように "ライトテーブル" という文字が明るく描かれています。 また、その右には "ダークルーム" と "その他" という文字があります。

"ライトテーブル" と "ダークルーム" というのがビューの名前です。 "ライトテーブル" が明るく描かれいてるのは、現在、ライトテーブルビューが選択されているためです

  
"ライトテーブル" や "ダークルーム" の部分をマウスの左ボタン(マウスの左ボタン)でクリックすることで、ビューを切り替えることができます。

なお、"その他" をクリックすることで、"スライドショー" と "テザリング" と "マップ" という3つのビューを選択することもできます。 つまり、darktableには全部で5つのビューがあります

5つのビューは、それぞれ以下の役割を持っています。

ビュー 役割
ライトテーブル 画像の取り込み・閲覧・選択・一括RAW現像を行う
ダークルーム 画像の編集(補正)・個別RAW現像を行う
スライドショー 画像をスライドショー表示する
テザリング PCに接続されたカメラから写真を取り込む
マップ ジオタグ付きの画像を地図上に表示する・画像にジオタグを付ける
  
darktableでは、補正したRAWファイルをすぐにRAW現像することも、最後にまとめてRAW現像することもできます。 補正後すぐにRAW現像するための機能が個別RAW現像で、まとめてRAW現像する機能が一括RAW現像です。

では、サンプル写真の取り込み(インポート)を実施しましょう。 7枚の写真を取り込んでデータベース化します。

  
写真は、デスクトップの下のCameraフォルダに配置されているものとして解説します。

写真の取り込みは、(現在選択中の)ライトテーブルビューで実施しますので、ビューを切り替える必要はありません

3. 左側のパネルのインポートをクリックする
3. 左側のパネルのインポートをクリックする

上図のように左側のパネルのインポートをクリックします。

4. インポートが展開される
4. インポートが展開される

上図のようにインポートが展開されます。 [ライブラリに追加]ボタンと[コピー&インポート...]ボタン、さらにパラメータという見出しが現れました。

今回は写真の情報を読み込んでデータベース化しますので、[ライブラリに追加]ボタンを押します。

  
[ライブラリに追加]ボタンを押すと、写真の情報のみがdarktable内に取り込まれます。 写真そのものは取り込まれません。
  
一方、[コピー&インポート...]ボタンを押すと、写真が複製されてdarktable内に取り込まれます。 取り込まれる場所は、ピクチャフォルダ(Windowsならマイピクチャ)の下のdarktableというフォルダです。
5. [ライブラリに追加]ボタンを押す
5. [ライブラリに追加]ボタンを押す

上図のように[ライブラリに追加]ボタンを押します。

6. ライブラリに追加ウィンドウが新たに開く
6. ライブラリに追加ウィンドウが新たに開く

上図のようにライブラリに追加ウィンドウが新たに開きます。 このウィンドウで写真の取り込みを行います。

ただし、このライブラリに追加ウィンドウでの操作方法はちょっと変わっています。 フォルダを自由に選択することはできないのです

まずは、左上の『場所』にフォルダを追加する必要があります。 次に『場所』からフォルダをたどります。

実際にやってみましょう。 まずは『場所』への追加です。

7. 『場所』の[+]ボタンを押す
7. 『場所』の[+]ボタンを押す

上図のように『場所』の[+]ボタンを押します。

8. ディレクトリを選択してくださいダイアログが開く
8. ディレクトリを選択してくださいダイアログが開く

上図のようにディレクトリを選択してくださいダイアログが開きます。 (1)でデスクトップの下のCameraフォルダを指定し、(2)の[開く]ボタンを押します。

  
ディレクトリとはフォルダのことです。
9. 『場所』にCameraフォルダが追加される
9. 『場所』にCameraフォルダが追加される

上図のように『場所』に(1)のCameraフォルダが追加され、選択された状態になっています。 また、(2)にもCameraフォルダが表示されています。

なお、(2)に表示されるのは『場所』で選択中のフォルダおよび、その下位フォルダです。 つまり、(1)でCameraフォルダを選択しているため、(2)にCameraフォルダが表示されているということです。

次にやるべきことは、フォルダの選択です。 (2)に表示されているフォルダから、写真が置かれているフォルダを選択します。

10. 『フォルダ』のCameraフォルダをクリックする
10. 『フォルダ』のCameraフォルダをクリックする

上図のように『フォルダ』のCameraフォルダをクリックします。

  
ウィンドウ上部の "再帰ディレクトリ" をチェックすると、選択したフォルダの下位フォルダも検索されます。
  
ウィンドウ上部の "JPEG画像を無視" をチェックすると、RAWファイルのみが取り込まれます。
11. 7枚の写真が一覧表示される
11. 7枚の写真が一覧表示される

上図のようにCameraフォルダに置かれている7枚の写真が一覧表示されます。 なお、darktable内にはまだ取り込まれていません

では、この7枚の写真をdarktableに取り込みましょう。

12. [ライブラリに追加]ボタンを押す
12. [ライブラリに追加]ボタンを押す

上図のように[ライブラリに追加]ボタンを押します。

13. 7枚の写真が取り込まれる
13. 7枚の写真が取り込まれる

上図のように7枚の写真が取り込まれて中央エリアに表示されます。 これで、写真の取り込み(インポート)によるデータベース化は完了です

なお、写真そのものは取り込まれていません。 写真の情報がデータベース化されただけです。 従って、デスクトップの下のCameraフォルダに配置されている写真を消してはいけません

ではここで、写真を配置したフォルダを見てみましょう。

14. サイドカーファイル(.xmp)が作成されている
14. サイドカーファイル(.xmp)が作成されている

上図のように ".xmp" が足された名前のファイルが作成されています。 このファイルはサイドカーファイルと呼ばれるもので、利用者(あなた)が写真に設定した付加情報や補正内容が格納されます

サイドカーファイルは、写真を取り込んだ(インポートした)ことでdarktableによって作成されました。

サイドカーファイルについて

サイドカーファイルには、写真に付加した情報(★による評価 / 色ラベル / 位置情報など)および写真の補正内容が格納されます。

darktableを終了して再起動すると、このサイドカーファイルから補正内容が読み込まれます。 つまり、前回の編集の続きができるのです。

サイドカーファイルがあるおかげで、darktableはRAWファイルに手を加えなくて済んでいます。 補正内容をサイドカーファイルに保存できるので、RAWファイルには何も書き込む必要がないのです。

darktableの非破壊RAWファイル編集を支えているのがサイドカーファイルという仕組みです

画像の絞り込み

darktableでは、画像を条件によって絞り込むことができます。 条件として指定できるのは、撮影日や撮影日時・F値・シャッター速度・ISO感度・焦点距離・カメラ機種・レンズなどです。

条件 darktable上での名称
撮影日 同左
撮影日時 同左
F値 絞り
シャッター速度 露出
ISO感度 ISO
焦点距離 同左
カメラ機種 カメラ
レンズ 同左

では、実際に絞り込んでみましょう。 まずは、現在の絞り込みの設定を確認します。 絞り込みの操作は、左側のパネルのコレクションで実施します。

1. 左側のパネルのコレクションをクリックする
1. 左側のパネルのコレクションをクリックする

上図のように左側のパネルのコレクションをクリックします。

2. コレクションが展開される
2. コレクションが展開される

上図のようにコレクションが展開されます。 フィルムロールという項目やCamera(7)という表示が出現しました。 これらの項目が現在の絞り込みの設定です

この部分はわかりにくいので、ゆっくり説明します。 まず、フィルムロールというのは、写真を分類するための『くくり』です。 フィルムロールは、インポート時に写真が置かれていたフォルダの名称で自動的に作成されます。 今回の例では、"Camera" という名前のフィルムロールが作成されました。 そして、取り込まれた7枚の写真はフィルムロール "Camera" に属しています。

では、それを踏まえてもう一度ウィンドウを見てみましょう。

3. フィルムロールが Camera のものだけに絞り込まれている
3. フィルムロールが Camera のものだけに絞り込まれている

上図のように(1)でフィルムロールが選択されています。 つまり、フィルムロールを条件に絞り込みが行われています。

(2)には(1)の選択肢、つまりフィルムロールの一覧が表示されます。 今回はフィルムロールはCameraしか存在しないため1行しか表示されていませんが、複数存在する場合は複数行が表示されます。

(3)には選択中の選択肢が表示されます。 今回の例では、デスクトップの下のCameraのフィルムロールが選択されています。

つまり、現在はフィルムロール "Camera" に属している写真だけが表示される状態になっています

  
最後に取り込まれた(インポートされた)写真だけが表示される条件になっているということです。

ではここで、絞り込みの条件を追加してみましょう。 F値が 2.8 という条件を追加してみます。 なお、darktableでは絞り込みの条件のことをルールと呼びます

4. 既存のルールの右端にある三角ボタンを押す
4. 既存のルールの右端にある三角ボタンを押す

上図のように既存のルールの右端にある三角ボタンを押します

5. 検索を絞り込むを実行する
5. 検索を絞り込むを実行する

上図のように表示されるサブメニューの "検索を絞り込む" を実行します。

6. 新たなルールが追加される
6. 新たなルールが追加される

上図のように新たなルールが追加されます。 1つ目のルールと同じくフィルムロールで絞り込む設定となっています。

  
ルールを新たに追加すると、フィルムロールで絞り込む設定になります。

では、このルールを変更してF値(絞り)で絞り込まれるようにしましょう。

7. 2つ目のルールの "フィルムロール" をクリックする
7. 2つ目のルールの "フィルムロール" をクリックする

上図のように2つ目のルールの "フィルムロール" をクリックします。

8. 絞りを選択する
8. 絞りを選択する

上図のように一覧が表示されますので "絞り" を選択します。

9. 2つ目のルールが絞りに変わる
9. 2つ目のルールが絞りに変わる

上図のように2つ目のルールの絞り込みが "フィルムロール" から "絞り" に変わります。 そして、一覧にはF値の選択肢が一覧表示されています

では、F値が 2.8 という条件を追加しましょう。

10. 2.8の行をダブルクリックする
10. 2.8の行をダブルクリックする

上図のように 2.8 の行をダブルクリックします(クリックではなく、ダブルクリックです)。

11. F値が 2.8 の写真に絞り込まれる
11. F値が 2.8 の写真に絞り込まれる

上図のようにF値が 2.8 の写真3枚に絞り込まれます。 このように、左側のパネルのコレクションから写真を絞り込むことができます

ではここで、2つ目のルールに注目してください

12. 絞りの条件が 2.8 であることがわかる
12. 絞りの条件が 2.8 であることがわかる

上図のように 2.8 がセットされています。 ここを見ることで、選択中の選択肢が 2.8 であることがわかります

では、絞り込みを解除して全7枚を表示させましょう。

13. [リセット]ボタンを押す
13. [リセット]ボタンを押す

上図のようにコレクションの右端にある[リセット]ボタンを押します。

14. 絞り込みが解除される
14. 絞り込みが解除される

上図のように絞り込みが解除され、全7枚が表示されます。

ではここで、画像一覧の上に注目してください

15. さらに絞り込むことができる
15. さらに絞り込むことができる

上図のように『表示』という選択リストで "全て" が選択されています。 これは、コレクションで指定したルールに一致する写真を全て表示する、ということです。

つまり、この『表示』の選択によって、さらに条件で絞り込むことができるというわけです。 なお、『表示』で指定できるのは、★の評価の数など簡易的な条件のみです。

  
 
写真への★の評価の付与は、下部パネル(右図)で実施します。 また、下部パネルでは、色ラベルを付与することもできます。
  
 
下部パネルでは、画像一覧のモード(表示形式)の切り替えやサムネイルの大きさの変更も行えます(右図)。
モード 説明
[ファイルマネージャー]ボタン

標準のモードで、サムネイル画像が格子状に表示されます。

1行に表示される画像の数は、ボタン群の右にあるスライダで増減させることができます。 また、CTRLキーを押しながらマウスのホイール(マウスのホイール)を回転させることでも増減させることができます。

[ズーム可能なライトテーブル]ボタン

サムネイル画像が格子状に表示されます。 マウスのホイール(マウスのホイール)を回転させることで、ライトテーブルの表示倍率を増減させることができます。

簡単に言えば、ライトテーブルそのものを拡大・縮小するための機能です。 1行に表示される画像の数は変化しないため、拡大するとライトテーブルが画面からはみ出します。

[固定カリング]ボタン

選択中の画像と、その次の画像が左右に並べられて表示されます。 簡単に言えば、2つの画像を比較するための機能です。

複数の画像が選択されている場合は、最初に選択した画像が基準となります。

[動的カリング]ボタン

選択中の全ての画像が並べられて表示されます。 簡単に言えば、複数の画像を比較するための機能です。

[フルプレビュー]ボタン

選択中の画像の中の1枚が、フルプレビュー表示(大きく表示)されます。

キーボードのカーソルキー(↑↓←→)で、選択中の画像の中の次の画像 / 前の画像に切り替えることができます。 また、キーボードのESCキーを押すことフルプレビューモードを抜けることができます。

画像が選択されていない場合は、全ての画像が選択されているのと同じ動作となります。

  
モードをフルプレビューモードに切り替えなくても、画像を一時的にフルプレビュー表示することができます。 対象のサムネイル画像にマウスカーソルを乗せてキーボードの W を押すことで、キーを押している間だけ画像をフルプレビュー表示させることができます。
  
マウスカーソルを乗せている画像がない場合は、選択中の画像がフルプレビュー表示されます。 選択されている画像もない場合は、先頭の画像がフルプレビュー表示されます。
  
  

まとめ

darktableでは、ほとんどの作業をメインウィンドウ上で行います。 メインウィンドウでは、目的に応じてビューを切り替えながら作業を行います。 darktableには全部で5つのビューがあり、それぞれ以下の役割を持っています。

ビュー 役割
ライトテーブル 画像の取り込み・閲覧・選択・一括RAW現像を行う
ダークルーム 画像の編集(補正)・個別RAW現像を行う
スライドショー 画像をスライドショー表示する
テザリング PCに接続されたカメラから写真を取り込む
マップ ジオタグ付きの画像を地図上に表示する・画像にジオタグを付ける

darktableでは、補正したRAWファイルをすぐにRAW現像することも、最後にまとめてRAW現像することもできます。 補正後すぐにRAW現像するための機能が個別RAW現像で、まとめてRAW現像する機能が一括RAW現像です。

darktableでは、ライトテーブルビューで画像を取り込むことが補正の始まりです。 [ライブラリに追加]ボタンで取り込むと、写真の情報のみがdarktable内に取り込まれます。

一方、[コピー&インポート...]ボタンで取り込むと、写真が複製されてdarktable内に取り込まれます。 取り込まれる場所は、ピクチャフォルダ(Windowsならマイピクチャ)の下のdarktableというフォルダです。

写真をインポート(取り込み)すると、サイドカーファイルが作成されます。 サイドカーファイルのファイル名は、画像のファイル名に ".xmp" が足されたものです。 サイドカーファイルには、写真に設定した付加情報や補正内容が格納されます。

darktableでは、取り込んだ写真を撮影日や撮影日時・F値・シャッター速度・ISO感度・焦点距離・カメラ機種・レンズなどの条件によって絞り込むことができます。

条件 darktable上での名称
撮影日 同左
撮影日時 同左
F値 絞り
シャッター速度 露出
ISO感度 ISO
焦点距離 同左
カメラ機種 カメラ
レンズ 同左

左側のパネルのコレクションが絞り込みを設定するための場所です。 初期状態では、取り込んだフィルムロールのみに絞り込むルールが適用されています。

ルールは自由に変更することができます。 既存のルールを削除したり、変更したりすることができます。 もちろん、2つ目・3つ目のルールを追加することもできます。

次の記事からは、いよいよ写真の補正です。

 
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