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5枚目の写真の補正

  

5枚目の写真の補正

5枚目の写真の補正に移ります。 5枚目の写真も補正後すぐにはRAW現像しません。

以下に5枚目の写真を再掲載します。 なお、この写真はカメラが出力した撮って出しJPEG画像です。

5枚目(samplephoto5.orf) - 高感度ノイズの不安がある -画像を拡大する
5枚目(samplephoto5.orf) - 高感度ノイズの不安がある -

ISO 1600で撮影したためノイズが心配な1枚です。 カメラの高感度ノイズ低減設定はオフにして撮影しました。

  
 
高感度ノイズは、赤・緑・青の点のカラーノイズとして発生し、暗い部分(黒い部分)で特に目立ちます。 存在しない色であるため偽色と呼ばれます(右図が高感度ノイズ)。

5枚目の写真を編集対象として選択する

現在、4枚目の写真が編集対象として選択されています。 編集対象を5枚目へ切り替えましょう。

1. フィルムストリップの5枚目の写真をクリックする
1. フィルムストリップの5枚目の写真をクリックする

上図のようにウィンドウ下部のフィルムストリップの5枚目の写真をクリックします。

2. 5枚目の写真に切り替わる
2. 5枚目の写真に切り替わる

上図のように5枚目の写真に切り替わります。

ホットピクセルの補正

まずは、ホットピクセルの補正からです。 ISO 1600で撮影した写真ですので、表示倍率を上げて確認します

1. ナビゲータの右下の表示倍率選択リストを"200%"に変更する
1. ナビゲータの右下の表示倍率選択リストを"200%"に変更する

上図のようにナビゲータの右下の(1)の表示倍率選択リストを(2)のように "200%" に変更します

2. プレビューエリアの画像が等倍表示される
2. プレビューエリアの画像が等倍表示される

上図のようにプレビューエリアの画像が拡大表示され、ホットピクセルを探しやすくなります。 全体的にカラーノイズが目立っており、右下にはホットピクセルがあることがわかります

では、このホットピクセルを除去しましょう。 darktableにはホットピクセル除去のための専用ツールがあります

3. テクニカルグループのホットピクセルを有効にする
3. テクニカルグループのホットピクセルを有効にする

上図のように(1)のテクニカルグループに切り替え、(2)のホットピクセルを有効にします

4. ホットピクセルが消える
4. ホットピクセルが消える

上図のようにホットピクセルが消えます。 このように、ホットピクセルを有効にするだけで十分な結果が得られます

では表示倍率を戻しましょう。

5. ナビゲータの右下の表示倍率選択リストを"画面に合わせて表示"に変更する
5. ナビゲータの右下の表示倍率選択リストを"画面に合わせて表示"に変更する

上図のようにナビゲータの右下の(1)の表示倍率選択リストを(2)のように "画面に合わせて表示" に変更します。

6. プレビューエリアの画像が画面に収まる表示倍率に調整される
6. プレビューエリアの画像が画面に収まる表示倍率に調整される

上図のようにプレビューエリアの画像が画面に収まる表示倍率に調整されます。

ホワイトバランスの補正

次はホワイトバランスの補正です。 必要であれば調整を行います。

1. ホワイトバランスの補正は必要ない
1. ホワイトバランスの補正は必要ない

上図のようにホワイトバランスの補正は必要ありません。 何もせずに次の補正に進みましょう。

明るさの補正

続いては明るさの補正です。

1. 一部白飛びしているが補正はしない
1. 一部白飛びしているが補正はしない

上図のように一部が白飛びしています。 例えば、カメラ本体の正面上部のOLYMPUSのロゴが見えていません

しかし、今回は明るさの補正は実施しません。 この記事はノイズ除去を主として解説しているためです。

もし、白飛びを補正するなら以下の補正、

  1. ハイライトの再構成の "方式" を "色を復元" に変更
  2. トーンイコライザーの "+0 EV" を "-1.00 EV" に設定

を実施するのがいいでしょう。 そうすればロゴが見えるようになります。

高感度ノイズ低減

続いては、高感度ノイズの低減を行います。 ISO 1600で撮影しているためノイズは確実に存在するでしょう。 表示倍率を上げて見てみます

1. ナビゲータの右下の表示倍率選択リストを"200%"に変更する
1. ナビゲータの右下の表示倍率選択リストを"200%"に変更する

上図のようにナビゲータの右下の(1)の表示倍率選択リストを(2)のように "200%" に変更します

2. プレビューエリアの画像が等倍表示される
2. プレビューエリアの画像が等倍表示される

上図のようにプレビューエリアの画像が拡大表示され、ノイズが確認しやすくなります。 ホットピクセルはなさそうですが、全体的にカラーノイズが目立っています

darktableには、デモザイク処理の前にノイズを除去するためのRAWノイズ除去ツールがあります。 まずは、これを使ってノイズを除去してみましょう。

なお、デモザイクとは、ベイヤー配列と呼ばれる特殊な配列の色の情報を赤・緑・青成分を重ねた構造に変換する処理のことです。

デモザイク処理
デモザイク処理

RAWファイル中の各画素は、赤・緑・青成分のいずれか1色の情報しか持っていません。 その並びは不規則なものではなく、赤・緑・青が規則的に1:2:1の比率で並んでいます。 その格子状の並びのことをベイヤー配列と言います。

赤・緑・青成分に分かれているベイヤー配列の色の情報を、隣接する画素と重ねてフルカラー化するのがデモザイク処理です。 RAWノイズ除去ツールを利用することで、デモザイク処理の前にノイズを除去することができます。

3. テクニカルグループのRAWノイズ除去を有効にする
3. テクニカルグループのRAWノイズ除去を有効にする

上図のように(1)のテクニカルグループに切り替え、(2)のRAWノイズ除去を有効にします

4. ノイズが弱まる
4. ノイズが弱まる

上図のようにノイズが弱まります。 ただし、まだまだカラーノイズは目立っています

次に利用するのは、ノイズ除去(プロファイル)ツールです。 このツールは、カメラのイメージセンサーの特性に応じてノイズ除去を行ってくれる優れものです。 RAWファイルに埋め込まれているカメラ機種から判別してくれます。

5. テクニカルグループのノイズ除去(プロファイル)を有効にする
5. テクニカルグループのノイズ除去(プロファイル)を有効にする

上図のように(1)のテクニカルグループに切り替え、(2)のノイズ除去(プロファイル)を有効にします

6. カラーノイズが消えて輝度ノイズが残る
6. カラーノイズが消えて輝度ノイズが残る

上図のようにカラーノイズが消えます。 ただし、全体的にザラザラ感は残っています。 このようなザラザラしたノイズは輝度ノイズと呼ばれます

輝度ノイズは、カラーノイズと違ってあまり目立ちません。 ピクセル等倍で確認しなければ気にならないでしょう。 そのため、無理に輝度ノイズを補正する必要はありません

今回は、説明のため輝度ノイズも低減させることにします。 輝度ノイズの低減にも、ノイズ除去(プロファイル)ツールを使用します。 ただし、先ほど有効にしたノイズ除去(プロファイル)ツールの設定を変えることはしません

説明が分かりづらかったでしょうか。 順を追ってもう少し詳しく説明します。 まず、ノイズ除去(プロファイル)ツールはすでに有効になっています。 先ほど電源アイコンをクリックして有効にしたためです。 そして、ノイズ除去(プロファイル)ツールの設定は、カラーノイズの低減に適した設定になっています(初期状態でそうなる)。 これが現状です。

では、ここからどうやって輝度ノイズを低減させればいいのでしょうか。 ノイズ除去(プロファイル)ツールの設定を、輝度ノイズの低減に適した設定に変えればいいのでしょうか。 いえ、そうではありません。 輝度ノイズの低減に適した設定に変更すると、カラーノイズが復活してしまうのです。

それなら、カラーノイズと輝度ノイズの両方を低減させる設定にすればいいでしょうか。 残念ながらそのような設定はありません

それならどうすればいいのでしょうか。 答えは...ノイズ除去(プロファイル)ツールを2つにしてしまえばいいのです。 そうすれば、一方をカラーノイズの低減向け、もう一方を輝度ノイズの低減向けに設定することができます。

実は、darktableではツール(正確にはモジュールと呼ばれる)を増やすことができるのです。 では、実際にノイズ除去(プロファイル)ツールを2つに増やしてみましょう。

7. ノイズ除去(プロファイル)ツールの新しいインスタンスを作成する
7. ノイズ除去(プロファイル)ツールの新しいインスタンスを作成する

上図のように(1)のテクニカルグループに切り替え、"ノイズ除去(プロファイル)" のラベルの右の(2)の[マルチインスタンスアクション]ボタンを押し、一覧から(3)の "新しいインスタンス" を実行します

8. ノイズ除去(プロファイル)ツールが増える
8. ノイズ除去(プロファイル)ツールが増える

上図のようにノイズ除去(プロファイル)ツールが増えています。 既存の(1)の "ノイズ除去(プロファイル)" というラベルに加えて、(2)の "ノイズ除去(プロファイル) 1" というラベルが出現しています

では、新たに追加された(2)の "ノイズ除去(プロファイル) 1" の設定を輝度ノイズ向けに変更しましょう

9. ノイズ除去(プロファイル) 1のモードを"非局所平均"に変更する
9. ノイズ除去(プロファイル) 1のモードを"非局所平均"に変更する

上図のように "ノイズ除去(プロファイル) 1" のモードを "非局所平均" に変更します

10. 輝度ノイズが低減される
10. 輝度ノイズが低減される

上図のように輝度ノイズが低減されます。 ただし、黒色の点が目立っているのがわかります

この黒色の点も低減しましょう。 パラメータ "シャドウの保持" で調整します。

11. シャドウの保持を 0.50 に変更する
11. シャドウの保持を 0.50 に変更する

上図のようにシャドウの保持を 1.07 から 0.50 に変更します。

12. 黒色の点が目立たなくなる
12. 黒色の点が目立たなくなる

上図のように黒色の点が目立たなくなります。 ただし、シャープさもかなり失われています

今回は説明のためにシャドウの保持を調整しましたが、実際の補正ではこれはやり過ぎです。 シャドウの保持は下げるのではなく、上げても良かったぐらいです。

高感度ノイズの低減はこれで終わります。 表示倍率を元に戻しておきます。

13. ナビゲータの右下の表示倍率選択リストを"画面に合わせて表示"に変更する
13. ナビゲータの右下の表示倍率選択リストを"画面に合わせて表示"に変更する

上図のようにナビゲータの右下の(1)の表示倍率選択リストを(2)のように "画面に合わせて表示" に変更します。

14. プレビューエリアの画像が画面に収まる表示倍率に調整される
14. プレビューエリアの画像が画面に収まる表示倍率に調整される

上図のようにプレビューエリアの表示倍率が画面に収まる倍率に調整されます。

細かな色の補正

続いては、細かな色の補正を行います。 パープルフリンジや霞(かすみ)などがあれば補正します。

1. 細かな色の補正は不要
1. 細かな色の補正は不要

上図のように細かな色の問題は見当たりません。 よって、補正は行いません

レンズ/ジオメトリ補正

最後がレンズ関連・形状関連の補正です。 歪曲や周辺光量低下を補正したり、傾きの補正を行います。

1. レンズ補正・ジオメトリ補正は不要
1. レンズ補正・ジオメトリ補正は不要

上図のように歪曲も周辺光量低下もないようです。 また、傾きもありませんので、補正は実施しません。

  

デモザイク処理について

すでに説明したように、赤・緑・青成分に分かれているベイヤー配列の色の情報を隣接する画素と重ねてフルカラー化するのがデモザイク処理です。

デモザイク処理
デモザイク処理

darktableは多くのデモザイク方式に対応しており、利用者が選択できるようになっています。 デモザイク方式は、デモザイクツールで設定することができます。

  
デモザイクツールは、右側のパネルに配置されています。

darktableで使えるデモザイク方式の内、代表的な方式とその特徴を以下に掲載します。

デモザイク方式 特徴
PPG ・以前のdarktable標準のデモザイク方式
・高速だが他のデモザイク方式の方が優れている
RCD ・現在のdarktable標準のデモザイク方式
・エッジに強い
・丸い輪郭に強い(天体写真など)
AMaZE ・RCDににている
・RCDよりもオーバーシュートに弱い
※オーバーシュートとはエッジに現れる白色のフチのこと
LMMSE ・高感度ノイズの多い写真に強い
VNG4 ・低コントラストの写真に強い
・エッジに弱い
・他のデモザイク方式の方が優れている
  

まとめ

RAWデータは、ベイヤー配列と呼ばれる特殊な配列の色の情報の集まりです。 ベイヤー配列の色の情報をフルカラー化するのがデモザイク処理です。 darktableは多くのデモザイク方式に対応しており、利用者が選択することができます。

ホットピクセルはピクセル等倍以上の表示倍率で探しましょう。 ホットピクセルが見つかったら、ホットピクセルツールで補正します。

高感度ノイズは、RAWノイズ除去ツール・ノイズ除去(プロファイル)ツールの2つで処理しましょう。 ノイズ除去(プロファイル)ツールは複製して2つにし、一方をカラーノイズ用、もう一方を輝度ノイズ用に設定するのがいいでしょう。 ただし、輝度ノイズの低減は控えめにするのがいいでしょう。 やり過ぎるとシャープさを失ってしまいます。

 
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